コーナリング番長 RR>マルケスのフロントゴケを斬る その4
コーナリング番長 RR>マルケスのフロントゴケを斬る その4
そろそろ立ち直って欲しかったのですが未だジタバタなマルケス。
このままでは一番のチームと一番のライダーの組み合わせの典型的な失敗例となってしまいます。
お祭り騒ぎ
最先端の技術と匠の技、それぞれが更なる高みを極めようとする時。
そのためには一旦後退することも余儀なくなるでしょう。
それが一般論でも、先端を行くものの思考だとしても、それはそうだとして、問題はその必要があるのか、他に優先すべきことはないのかということです。
技術力も、分析力もあるのなら、それを、他を寄せ付けないためではなく、安定してそのレベルを維持するようなミッションをこなすほうがはるかに効率が良いのではないのか?
勝てる時にわざわざ博打を打つ様な行為は賢明ではありません。泥沼にハマる前に抜け出すべきです。
と、「バイクのポテンシャルを超えた」若き天才マルケスのジレンマとは? を読んで思いました。
それにいくらゲイン※が大きいからってライダーを持ち上げ過ぎではないでしょうか?
チームがこんな表現でライダーを養護するのも珍しい。
テストならともかく、「ブレーキングが間に合わない、それを称して下手くそという」と言えないのでしょうか?
振り返ってみても、(バイクが良ければ)天才ライダーは星の数ほどいたのに。
正しくはマルケスは天才ではなく努力型だと思うのに。
そもそも、ライダーは、バイクのポテンシャルの半分も引き出せていなくて、
引き出せていない理由は、四輪と違い二輪は転倒してしまうという精神的理由にかかっていると思っています。
そして、そのポテンシャルを引き出すべく開催されるレースで、チームがライダーにプレッシャーをかけまくるようなことをしていたら、開催の意味(興味)は薄れてしまいます。
天才だより
仮に、マルケスが天才だったとしても、
運良く天才ゲットで勝ち上がるより、例えばイマイチ運が無いペドロサの様なライダーがチャンピオンになれるようなプログラムを、チームはつくり上げるべきではないでしょうか?
それが、おっきいチームの役割なのではと思います。
底辺を広げるためには天才も必要ですが夢見る隙間も大切です。
天才は弱小チームのために放流しておくのが、大っきいチームの余裕というものです。
潰し合い
かくしてチームもライダーも、共に上を目指すという前向きな誠実さで、お互いのプレッシャーで歯車を狂わせていきます。
ライダーがうまく走れないのはマシンのせい。
開発が進まないのはライダーの努力が足りないから。
てな感じ双方がプレッシャーを感じ、相手にプレッシャーを与えています。
それは自信なのか見栄なのか。
お互い我を忘れて舞い上がってしまっているように見えます。
スタッフがみっともないのはともかく、ライダーは身も心もボロボロというか、舞い上がってしまうというか、ジタバタしてしまうというか・・・
「勝ちたいからもっとブレーキが効くようにしてくれ」って微妙に禁句。
それに対して「ライダーの希望に添えていない」ってへりくだる必要はないし、逆に怒る場面。
だって、プロとして最高の仕事をやっているはずだから。
素人ウケする「努力」なんて言葉は入り込めないぐらい高いレベルなはず。
初心忘れるべからず
マルケスのジタバタに話を戻します。
きょうの第8戦TTアッセンの予選を見ていて悲しくなりました。
マシンの上で頑張っているのはわかるのですが、マシンがついてきていません。
ここで御大ロッシの登場です。
比較すると、動きの遅いロッシですが、此処に秘密があります。
例えばこういうことがあります。
今までまるで勝利に見放されていたのに、一回優勝したら、その後勝ちまくる。
よく聞きますね。
これは、一回優勝すると、いきなり技術的に上手くなるのでも、いきなり明確な勝ち方を会得してしまうのではありません。
大人の余裕
結局こういうことです。
追いかけている時でも、追われているのでもない時、いわゆる自分の走りに集中している時。
その時は、きっと本人にとっての技術的なベストな走りになっていることでしょう。
そのベストの走りが優勝するに値するレベルにありさえすれば、その自分の走りをすれば勝てるということになります。
優勝することを聴かっけに、余計なプレッシャー、焦りから開放されることにより、自身の実力を発揮できる様になることに貢献していると思います。
いくら最先端のマシンでも、まだバイクの操縦はデバイスではなく人力です。
これを忘れてはいけません。
クイックだろうが、ダル(鈍)だろうが時間差があります。
この、ライダーのアクションに対して遅れて動くのがマシンだということを忘れてはいけません。
それが本人の希望する動きとちがって遅かったりしても、まずは、マシンの動きを見積もって、待ってあげるだけの余裕が必要ということです。
切り返しの反応速度が遅かったら、まずはそれに合わせてゆっくりと操作することを「操縦がうまい」と言います。
間違ってもライダーだけ先に動いて「マシンがついてこない」とか言っっても、全体的に解決策は見えてきません。
操縦は計画的、対応は反射的。
反射的な動きをしているうちは操縦とは呼べません。
決勝のオンボードの切り返しとかで確認してみましょう。
ロレンソがドンピシャの人車一体、ロッシがマシン先行のオフロード的、マルケスはまるでミニバイク…
大人のなりそこねの結果
肝心なことは、ライダー先行のライディングは一種のトラクション抜けです。
その結果は時限爆弾のお釣り返しです。
本来のトラクション重視のライディングでセッティングしたマシンが思う通りに動くはずもなく、最終的にトラクション抜けのお釣りでフロントゴケとあいなります。
焦ると転ぶのは、操作がぞんざいと言うよりは、トラクションコントロールの遅れだったりする。
と思っておくと対策ができるので幸せになれます。
急成長
ということで、今一番成長しているのは一番のマシンと一番のライダーではない組み合わせの、チームたち。
特に余裕を取り戻した百戦錬磨で仕事人のロッシ。
オートバイの美学はコーナリングだとしても、勝利の美学は勝つこと。
最終的には小周りの方に分がある物理の世界、ロレンソにはいつだって暗雲が立ち込めています。
マルケスの未来は周りのスタッフの大人度にかかっていると思われるのですが、
残念なことに技術屋って……、結局ロレンソと同じくらい暗雲。
ダートトラックって、全てがバイク先行でしょ?
ダートトラックのマシンって動けば何でもいいし、それでも勝てる、って思ったでしょ?
という事を思い出させるだけでいいと思うのですが……
マシンは「どうしょうもない」くらいが一番のライダーには、勝つための一番いい状態だったりしたりして。
それでも、そのうち晴れるのは、確実です。
スタートで出遅れて、全員抜きするマルケスを所望。
では。

デバイスの開発力ではなくライダーの技を見たいので、センサーの開発はテストコースでやって欲しいぞ
※ゲイン=儲け

















