外足荷重のその瞬間(正しい外足荷重の解釈)
外足荷重のその瞬間(正しい外足荷重の解釈)
外足荷重という言葉を避けているわけ
このサイトでは外足荷重という言葉を極力使わないようにしてきました。
理由は簡単です。
前提が多様にありすぎて正しくは伝わっていないことと、
荷重と抜重では抜重のほうがタイミングとして正しく管理でき、そして何より抜重のほうが安全だからです。
なのでこのサイトは、状態としての外足荷重は正しくとも、ライディングのアクションとしての外足荷重は好ましくないということで進めてきました。
同じようなバンキングのアクションを荷重として行うのと、抜重として行うのでは、抜重のほうが遥かにクイックで、何より転倒率が少なかったからです(自己調査)。
結局のところ、同じアクションを外足荷重というツールを使うかそれ以外のツールを使うかです。
ツールの選定基準がクイックが第一、第二が安全、第三が難易度、第四が体力の消費量とかだとすると、特定の場面で外足荷重のほうがクイックなアクションを行えるのであれば、一発勝負の場合はその選択はあり得ることでしょう。
なので、ここでは正しい外足荷重を使ったライディングを説明してみます。
これらを適材適所で利用すると、よりクイックで安全なライディングとなることでしょう。
感覚的と物理的の違いと用語の定義
感覚的と倫理的
「一口に外足荷重と言っても」でです。
この外足荷重のというツールを巡って、たびたび論議が持ち上がることのそもそもの原因は、聞くほうも聞くほうだし、答えるほうも答えるほうだしということではないでしょうか。
おたがい、ねっ。
特にそのような質問をされるようなトップクラスのライダーは、多分に感覚的な要素がそのポジションに立てる所以だったりするのではないでしょうか。
「スパッと」、「ズバッと」、「ドカーンと」では記事にならないので専門用語をちりばめて使ったりするので当の本人にとってはその用語にほとんど重みがなかったりする事もあるでしょう?
「コーナリング中は特に何にもしないでボ~と乗っているだけ」と「外足荷重でグイグイ曲がる」では後者のほうが圧倒的にトップライダーっぽい。
あるいは、詳しく解説できない時とか、たとえ解説しても相手に伝わらないと思った時にも同様な結果になるのではないでしょうか?
これは仕方がないことです。
なので聞くほうが悪い!
そのトップライダーに聞くほうが、物理的な仕組みと違いとパターンを網羅し、その感覚的な発言がどれに位置するのかを探し当てる必要があるのです。
そのためには、まずは使う用語の定義からですが、それ以前にライディングとはから始めないといけなさそうです。
バンキング時のライディングの種類
細分しても面倒なのでここでは大きく三種類に分けます。
それはマシンの状態とライダーとのかかわり方についてです。
直前のライダーの操作はさておき、いざコーナリングに向けてバンキングをし出しているその時の状態のことです。
- 倒れこもうとしているマシンを、ライダーが抑える系のライディング
- 倒れようとしないマシンをライダーが倒しこむ系のライディング
- とにかくマシンなりに合わせるライディング
要するにマシンが切れ込んでくれるのか、くれないのか、あるいはちょうどよいのか?ということです。
3.)の場当たり的なライディングは毎回微妙にラインが異なったり遅かったり速かったりすることが想定されるので、ライダーがこれしかできないというのではレースでは現実的ではないでしょう。
したがって、3が理想だとしても実際には1と2がレースで行うライディングであり、そこで行う望む角速度になるようなさじ加減こそがテクニックだと思うのです。
なので毎週微妙に異なるマシン自体の角速度の調整は、単純に内足荷重ではなく、外足荷重の時もあり、もう見ただけじゃあわかりませんし、ライダーですらどっちですかと聞かれても答えられないかもしれません。
この1と2では全然逆のライディングが求められたりします。
そしてこの1か2かの判断はライダーの判断となります。
客観的ではなく想定していた挙動との比較になるのです。
したがって、マシンの性格とか、ライダーの性格とか、ライディングフォームの特徴とかは関係ありません。
なので、一見しただけでは、その瞬間のライディングの特徴はわかりこそすれ、それをもってそのライダーの特徴と言い切るのは早計となります。
ちなみに一見して評価する場合はフォームではなく背中の状態が一番語っていてわかりやすいと思います。
この三パターンに対してちょうどよい言葉がありました。
ハングオンです。
ハングオン【hangon】という英語は「ひっかける」という意味があったりします。
なので倒れてくれないマシンを引っ掛けて倒すようなライディングをハングオン。
逆に想定以上に素早く倒れこもうとするバイクを抑えるときのライディングをハングオフ【hangoff(ためらう)】。
何もしなくてもよい場合はライダーのフォームやポジションに関係なくリーンウィズとここではしてしまいましょう。
このリーンウィズ状態でのバンキング・コーナリングではライダーがいなくても想定した動きをします。
この状態では、ライダーが落ちてもマシンはそのまま走り続けられるということです。
ちょっとしたスライドにも立ち直る可能性が高いともいえるでしょう。
なのでセッティングとしてはリーンウィズを目指すべきで、ライダーの癖で「倒れにくいマシンのほうが好きだ」とかいうのは一般的には良くないといえますがノリックみたいな才能が有れば新しい道を築けるかもしれませんが、そういう場合でも速いと強いのどちらを取るかの二択は必要です。
用語の定義
- 荷重とは重さのことで慣性重量とか重力重量で特定の箇所での重量。圧力は違う
ここでは重量ではなく荷重配分を表すための言葉とします。例:Lステップ荷重70% - 荷重配分とは合計が100%になる荷重の比率で、瞬間的ではなく平均的な数値のこと
- 加重とは意図的に押し続ける力のこと。慣性も加速度もこれであらわします。
- 圧力とは応力と反力とがペアになった力のこと
- ライダーが操作しないとバイクが倒れこんでしまう時のライディングをハングオン
- ライダーが操作しないとバイクが起き上がってくる時のライディングをハングオフ
- ライダーが操作しなくても旋回し続ける時のライディングをリーンウィズ
マシンや設定の前提
- タンクとかに押し付けてのステップへ加重することをここでは荷重としません。
(なぜなら同じだけタンクに加重しているからです)
これは荷重の方法ではなくホールドの方法とします。 - 見た目通り、ポジション通りの荷重配分の時にはその荷重配分の多いほうの足荷重とする
- 脚を上げ下げすることによる荷重変化はありとする(厳密には2点荷重ではないので可能)
- 脚の質量による荷重変化はステップへの荷重変化でマシンからみた全体の荷重配分に変化はないものとする(揺れはある)
- 定常円旋回のときをコーナリングと呼ぶこととする
- 角加速度が生じているときをバンキングと立ち上がりと呼ぶこととする
- 説明では左コーナーを想定していることとする
- バイクの重さ100Kg
- ライダーの重さ50Kg
- 片足の重さ10Kg
- それぞれの正面から見た重心点は
・マシン:ステップのあたり
・ライダー:へそのあたり
・マシン+ライダー:シートとステップの中間あたり - バンク角は60度(2G)
- タイヤの幅はゼロ(点)
- とりあえず1輪車で考える
- 通常のハングオンフォームの時の荷重配分は外足30%、内足70%
- 腕はステアリング操作のみで荷重はゼロとする
- 前後輪を考慮すると複雑になるのでその違いを考慮せず、1輪車のような想定とする
- 荷重ポイントと表記は次の5か所、
・Lステップ
・Lシート
・シート(中央)
・Rシート
・Rステップ

いろいろ参考になるライダーです。 マルケスに生まれたらラッキーだけどそうでなければロッシを目指すとよいと思われます。 ちなみに微妙にハングオフ
外足加重のその瞬間
それでは外足荷重ライディングのパターンをいくつか挙げていきましょう。
パターンには旋回中とか割と長時間の時や、バンキングの途中の瞬間とかのごく短時間のことを指している場合とあります。
その1:すべてが完璧な時
事前の計画と操作が全てうまくいき、ライダーは想定した通りのポジションに移動こそすれバンキング中に追加の操作などいらなく、ただ乗っていればよいような状態の時に、ふと思いついて外足をけってみる走法
詳細・特徴:
ただ乗っていればよい時はリーンウィズとなり、特徴としては外足荷重しているとも、内足荷重しているともいわないのが正しい。
文字通り何もしなくてもよい状態なので荷重配分移動の必要はなく配分は次の通り
- シートには一切座っていなかったらRステップ30%、Lステップ70%
- シートに座り両足あげていたらRシート30%、Lシート70%。
- シートにも座っていたらRステップ30%、Lシート30%、Lステップ40%。
ここで外足をけってみる(外足荷重をしてみる)行為は対マシンから見た荷重変化はなく、増減するのはシートとステップ間の荷重配分となります。
パターンは二つあります
パターン1
一つは内足の荷重を抜く方法です。
多分に背中の筋肉の硬直もあり、外側リジット系になります。
ハイサイド強い系&ハイサイドよく飛ぶ系でもあります。
この状態での外乱へのコントロールやバンク角の調整などは内足系で行うことになります。
コントロールしてる感が強いので悦に入りたい時にはうってつけです。
外乱へのセンサーとしてみた場合に腰の硬直系が吉になるライダーと凶になるライダーとがいると思います。
パターン2
もう一つはシートの荷重を抜く方法です。
今までかかっていたシート配分を抜きつつ相対的に外足荷重をかける方法です。
このときの内足の荷重量はそのままにもできるし、増やすこともできます。
一見、マシン(ライダー)の支持ポイントが外側になるのでセンサー的にも、外乱処理的にも良さそうに思えますが、
これはツーリングではありの走法ですが、ことレースではあまり良策ではありません。
レースではフルブレーキングや切り返しの手順の中で、別の操作でステップ荷重に頼ってしまっている場合があるからです。
このステップに頼ってしまっているということへの回避策としてまさしく進入スライドがいったんシート荷重を行うことができる走法なのでこの場合はこのパターンもおこなえるでしょう。
ただし、ステップ荷重にこだわるよりはステップ、シート、タンクを含めたホールドをしっかりしないと、荷重の揺らぎがそのまま反映されてフラフラしたり、外乱に対して足が伸びる系なのでやっぱりフラフラしたり、ハイサイド強い系とともに、ハイサイド立て直したはいいけどかえって悲惨系になったりします。
その2:ハングオンしている時
マシンがクイックに倒れこんでいるのを外足で感じるようにすると外足荷重になります。
例えば次のようにします。
- 直線で右足に荷重を掛けておく Rステップ荷重60% マシンも右側に傾いているか、微妙に左に旋回し出している
- マシン主導で倒れだしていくの右足で抑えつつバンキングする Rステップ荷重70%
- バンキングはステップ操作ではなく、バイク自体で収束させる
この時の荷重配分はLステップ荷重70%、Rステップ荷重30%、Rステップ圧力20Kg
詳細・特徴
傍目にはマシンのバンキングよりもライダーのバンキングのタイミングがワンテンポ遅い感じのライディングになります。
大げさに言うと外足荷重というよりは外側にあるライダーをバイクのバンキングする力で自らがイン側に持っていかれるような感じ。
体が硬直系、伸びる系なのとお釣り系なので芸術点は30点
その3:ハングオフしている時
マシンがクイックに倒れこますための起点として外足荷重にします。
いくつかやり方があるにしても瞬間系の技でしょう。
詳細・特徴
傍目にはマシンのバンキングよりもライダーのバンキングのタイミングがワンテンポ速い感じのライディングになります。
マシンを引き込むための文字通りのアンカーとして使う場合と、内足の荷重をいったん抜くための起点とする方法などがあります。
バンキングは膝で倒すのと、内足で倒すのと二通りありそれぞれにメリット、デメリットがあり・・その量は以下省略なぐらいです。
(今回は省略させてください、そのうち追記します)
その4:バンキングをやめるとき
バンキングをやめるためのアクションとして外足の荷重を増やすことで外足荷重にする走法。
例えばハングオフ系でバンキングさせたマシンのバンクを止めるときに使います。
詳細・特徴
これをハングオフ系でやるときには、マシンを引っ張り込むために、マシンと共にダイブするのではなく、マシンを引っ張り込む代わりにライダーにお起き上がる慣性を発生させて、その慣性をマシンのバンキングを止めたい時に使います。
ハングオン系でやるときには、ライダーとマシンの慣性を別々に発生させてその差分を利用して外足に荷重させます。
どちらもうまく決まればリスクの少ない良い方法と思われます。
ただし、タイミングを外すとヨレヨレになるので、うまくできないときには別のバンキングをやめる方法を使ったほうが良いでしょう。
その5:ハングオンさせる時
例えば100%外足荷重をきっかけにマシンが切れ込んでくる方法(100%でも70%でも同じ)。
スキーの外足荷重と同じような感じ。
例えば次のようにします。
- (直線で)右足に荷重を100%かけます(かける方法は不問)。
- バイクが瞬間的に右側に振れたのちに左側にバンキングが開始される
あるいは、ステアリング操作で補正し左側にバンキングが開始される - 内足(左足)やシートへの加重を、バンキングスピードの調整や、精神的な安全パイのために添えるように行う
- 想定したバンク角(タイミング)になったら内足加重、およびシート加重を行うことでバンキングを停止し、バンキング終了、引き続きコーナリングに移ります。
詳細・特徴
このアクションの特徴は、100%外足荷重といえるといえばいえるアクションです。
このアクションはスキーのパラレルターンで説明するとわかりやすいかもしれません。
パラレルターンでは、スキーのエッジを中心に置きたいため外足荷重が基本となります。
そのパラレルターンの外足荷重の荷重j方法の3パターンを説明します。
右足が外足、左側が内足とします。
スキーを履く必要もなく単に両足で立てるスペースがあれば確認できます。
パターン1
両足で立ちます
内足を持ち上げて体が左側に倒れていくようにします。
倒れるスピードを左足でコントロールします。
倒れるのをやめたくなったら左足に力を入れて、倒れるのをやめさせます。
パターン2
両足でしゃがみ込みます。
外足を延ばして、左側に倒れていくようにします。
倒れるスピードは右足でコントロールします。
倒れるのをやめたくなったら右足を伸ばすのをやめます。
パターン3
両足で中腰になります。
外足を延ばすのとと同時に内足を曲げ、左側に倒れていくようにします。
倒れるスピードは両足でコントロールします。
倒れるのをやめたくなったら右足を伸ばすのをやめ、左足も曲げるのをやめます。
この3パターンの脚の屈伸具合を織り交ぜて後は旋回に必要なアクションを加えたのがパラレルターンのアクションになるかと思います。(旋回に必要なアクションは割愛します)
この場合、すべてのパターンがまさしく外足荷重と言って間違いないと思います。
やろうとしていることも実際にも外脚一本で立つことができるからです。
そしてスキーの場合は「外足荷重であり続ける」ことが可能です。
対してオートバイの場合はどうかというと、100%の外足荷重が絶対できないわけではありません。

100%内足荷重だとして・・・

100%外足荷重なコーナリング
合成すると

ほとんど切り返しの場面みたいですが、やろうと思えばできそうですね。
「なじみのあるスキーのパラレルターンの外足荷重と同じような感覚で、ハングオンフォームでコーナリングをする。」
実際そのような感覚でコーナリングが成立してしまうのですが。「荷重配分」や。荷重の継続性の観点からすると少し苦しくなってきます。
そこで、この場合は、「バンキングを外足荷重を起点にコントロールする」といえば正しくなります。
なので、インタビューアーに「コーナリング中のステップワークはどのようにしていますか?」と聞かれた際に
「バンキングは外足荷重を起点に内足加重でコントロールを行い、コーナリング中は外足ホールドを起点に姿勢を維持している」とか、
「バンキングは外足荷重を起点にシート加重でコントロールを行い、コーナリング中は見た目通りの荷重配分で両足は特に何の役もしていない」とか
「バンキングは外足荷重を起点にシート加重でコントロールを行い、コーナリング中も100%外足荷重で、補正として常時70%前後の内足加重を行っている」とかとかとか・・・
それでも、上記の手順をそのままやってもうまくいきません、実際には細かいライダーの操作が加わっているからです。
しかし、これはこれで「外足荷重だ」と、そっとしておいた方がよいような気がしました。
極めたいと思ったら「内足荷重だ」のほうが近道なんですが。
とにかく、外足荷重は、実際にやろうと思うと気が付く通り、若干ならぬ無理があることと、抜重による荷重ならまだしも、加重による荷重のばあいには体が伸び上る、腰回りの硬直などデメリットについても十分考慮する必要があります。
その6:ハングオフさせるとき
アプローチの時点でタンクとステップなどを利用して外側の足回りをホールドしておいて、バンキングのタイミングで内足や、シート加重を抜重してバンキングさせる方法
詳細・特徴:
その4の「ハングオンさせる時」との違いは「ハングオンさせる時」では外脚を開いたり閉じたりできるのに対し、「ハングオフさせる時」では外脚はタンクに押し当てられたままだったり、自由に動かすことができないのが特徴となります。
そして実際には、単純にイン側を抜重しただけではバンキングは始まってくれないので、バンキングに必要な横方向のアクションを加える必要があります。
因みに外側(右足)のステップはバンキング時には上向きの移動も必要なので荷重配分が外側にあるときに自然に倒れこむことは難しかったりします。
とはいえ、これを外足荷重と呼ぶかはともかく、結構な割合位でこの方法でバンキングしているのかもしれません。
まだまだパターンは山ほどあります。
パターンを正確に書くのが大変なので日を改めます。
内足荷重という走法?の詳細な説明の必要がありそうならそれもまた。
やっぱり内足荷重は内足抜重から始めるほうが良い・・・
以上
外足荷重のその瞬間(正しい外足荷重の解釈)
でした。

これはもはやリーンウィズ
参考:
他のサイトで外足荷重についての解説のリンクをいくつか張っておきます。
なんでも言い切るのは危険ですが、一瞬でも正しければそれも正しいといえます。
■足、どうしてます?■ 国際A急ライダー達の足
聖地巡礼-バイクライディングin北海道- 車体ホールド 外足荷重を考える②
twitter tweet まとめ つぶやき mushup「外足荷重」の正体
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私のサイト内での「外足荷重」




















