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アンチ・ハイサイド
立ち上がりを極めるためには、まずは立ちはだかる壁の原因を、取り除くなり軽減しておくことが重要です。
原因の1つはズバリ、ハイサイドですね。
まずは、ハイサイドしにくい走り方か、ハイサイドしても平気な走り方か、気にならない方法をマスターしておきましょう。
ハイサイドする理由
以前にもハイサイドについて書いてますが、改めて (その1、その2、その3)。
立ち上がりの定義
立ち上がり時のハイサイドの原因は、進入時とは異なり、アクセルオンによるリアタイアのグリップのブレイクです。
と、書こうと思ったら、立ち上がりの定義があやふやなことに気が付きました。
S字とかシケインなどのように、コーナーの出口までアクセル戻しっぱなしの減速しっぱなしというパターンもあるからです。
立ち上がりとは、速度的なクリッピング付近(前後です)で、「マシンが加速しだした時点」から「ストレートと呼ばれる区間」までを立ち上がりと呼ぶことにします(ここでは)。
二つのバネ上
四輪と違い、二輪はバネ上が複数あります。
まずはタイヤから見たホイール、次にホイールから見たボディ、次にボディから見たライダーですね。
一般にタイヤから見たホイールはカウントに入れないことが多いので、二つのバネ上で考えてみましょう。
ハイサイドとは、グリップを失って横方向にスライドしたタイヤのグリップが復元することによってライダーが空を飛んだ時、あるいは飛びそうな時のことですね。
バネ上はこの、ハイサイドにとても貢献しています。
例えば昔ながらのハングオンは、主にステップやシートに対しての加重が基本となるため、有時(急なスライド時)にはバイクとライダーが離れてしまいます。
そして、その結果、トラクションの減少やポジションの移動によりグリップが回復してしまうわけです。
このことはホイールとマシンの間にもいえます。
そもそもバネにより上と下を分けるのは、グリップを失った時に、素早くグリップを復元するために存在すると言っても良いからです。
通常であれば速さに貢献するこの役目そのものが、ハイサイドの原因になってしまっているということです。
サスセッティングもハイサイド(リアの急激なスライド)ではなく、通常時に速く走れるように合わせられていることも、より悪化する要因ですね。
実際、初期のダートトラックレースのマシン(ダートトラッカー)にはリアサスはなくリジッドだった時代もあります。
理由はスライドさせやすく、(多分)リカバリもしやすかったのではないでしょうか?
リジッドが廃れてしまった理由は、サス付きの方がタイムと勝率が良くなったからでしょう。
自滅
ハイサイドしてライダーが振り落とされた後に、マシンだけ転倒せずに走り続けてしまうことがよくありますね。
何の事はない、ライダーのせいで転倒してしまうわけですね。
アンチ・ハイサイド
原因(要因)がわかったら対応しましょう。
ここでもろもろの原因に対して、ライダーは次のことが出来ます。
- ライディングを変える
- バランス力を鍛える
- 反応速度を変える
- セッティングを変える
ライディングを変える
手っ取り早いのはマルケス、ロレンソ、ロッシなどの最新型ライダーのライディングを真似てみることです。
キーワードは時間差とお釣り、すなわち、しがみつけるか、しがみ続けられるか、だと思います。
いっその事、ハイサイドしそうと見るや、離脱するという考え方、走法もあります。
飛行機でいうところの射出座席(しゃしゅつざせき・ベイルアウト)ですね。
これなら、ライダーはその場に取り残され、ライダー自身はハイサイドにまでは至らないかもです。
ライダーの安全は確保できるのですが、チームとしては少し、嬉しくはないかもしれません。
これでは転倒しなくて済むものまでもれなくマシンが大破。修復費が倍増してしまうからです。
現状では、受けいられないかもしれませんが、マシンの自動停止の仕組みや、マシンの価格を桁外れに安価にするなど、手がないわけではありません。
バランス力を鍛える
バランスは良いに越したことはない事
に説明の必要はありませんね。
体幹トレーニングを取りれてみると良いかも。
詳しくないのでネットか書籍で(定番は↓)。
まずは、立ったまま靴下を履けるように…
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反応速度を変える
鍛える
人間の反応速度自体は、トレーニングしても変わらないのかと思いきや、さにあらん。
マン島TTレース(Isle of Man TT)を何度も制しているジョン・マックギネス(マクギネス)選手がなかなか誇らしい結果を出したようです。
【AFP=時事】一流のアスリートは、大きなプレッシャーにさらされるとき、脳の一部分が平均より82%速く機能するという。19日、英国の研究で明らかになった。
2015年の記事です
〜
【5月20日 AFP】一流のアスリートは、大きなプレッシャーにさらされるとき、脳の一部分が平均より82%速く機能するという。19日、英国の研究で明らかになった。
ダンロップタイヤ(Dunlop Tyres)とユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(University College London、UCL)が行ったテストの結果、トップレベルのスポーツ選手は、身体的、精神的な重圧を受けたとき、一般人よりはるかに優れたパフォーマンスをみせることがわかった。
被験者にはタスクが課され、反応速度に関わる頭頂皮質がどう機能するかを測定した。すると、アスリートが「人並み外れて優れた」結果を出したという。
英国の五輪代表チームと、ラグビーイングランド代表のメンタルサポートに携わるUCLのビンセント・ウォルシュ(Vincent Walsh)教授は、「非凡な人に関して言えるのは、練習場でどれだけ上手にできるかということではなく、プレッシャーの中でどれだけうまくできるかということなんです」と話した。
「テストを通じて、彼らが人とどう異なるのかを明らかにできればと思います。分野によっては、瞬時の判断が大きな違いを生むことになるでしょうからね」
研究には、マン島TTレース(Isle of Man TT)を何度も制しているオートバイレーサーのジョン・マックギネス(John McGuinness)、ロッククライマーのレオ・ホウルディング(Leo Houlding)、レーシングドライバーのサム・バード(Sam Bird)、ウイングスーツ・パイロットのアレクサンダー・ポリー(Alexander Polli)、スケルトンの五輪金メダリストであるエイミー・ウィリアムズ(Amy Williams)の5人が協力した。
■疲労状態で反応速度が向上
アスリートと一般人のそれぞれ5人は、心身共にプレッシャーを受けた状態で視覚タスクに臨み、時間内にさまざまな形やパターンを認識するというテストを受けた。
エアロバイクなどのエクササイズで疲労した中でも、一流アスリートは一般人より、82%速く反応することができた。
この傾向が特に顕著だったのは43歳のマックギネスで、まったくプレッシャーがない状態よりも、心理的な重圧がかかったときの方が早く反応できた上、ミスを犯すこともなかった。
この結果、リスクが高いスポーツに挑む選手は、疲れがたまったときにパフォーマンスが10%向上することがわかり、一般人グループは、同条件で60%の低下が確認された。
視覚的な合図に反応しながら、どのように妨害を対処するかという実験では、アスリートが一般人より3倍優れた結果を出した。
アスリートの神経系における発達が、遺伝によるものなのか、練習による成果なのかは明らかになっていないが、ウォルシュ教授は、「こういったスキルは確実に向上させることが可能です」と話している。
「こういう状態に自分を慣れさせ、常に上を目指してチャレンジしていけるかの問題です」
【翻訳編集】 AFPBB News

マン島TTは反応速度が命!
トップアスリートになると反応速度が速くなるのか、反応速度が速いからトップアスリートになれるのかはともかく。
鍛えましょう。
そして……プレッシャーが必要らしい。
変える
それとは別に、センサーと指令局を変えてみることも有用です。
足が異常を感じて脳に伝え、脳はその状況を判断して、どう対応するか決めて、その結果を脳から足に伝えて、足はその結果の通りに動いて、バイクはその足の操作に対応して… ではなく。
指令局を変える
脳の思考で判断するのではなく、条件反射に持ち込むことが手っ取り早いです。
(それとは別に、脚に考えさすというのも、そのうち認知されてくると思います。)
距離を変える
足ではなく脚で、 脚よりも肘で、肘よりも視力で、視力よりも聴力のほうが反応速度が速いかもしれません。
セッティングを変える
ハイサイドになりにくいセッティングに変更してみることです。
冒頭のリアサスリジットもそうですし、ありとあらゆるセッティングパーツが対象です。
パーツだけではなく、ライダーを変えることもありです。
例えば、いくら速くてもセッティングの知識が少ないマルケスの意見ではなく、繊細なセッティング能力と、豊富な経験を持つペドロサの意見を聞くとかもそうです。
たとえ乗ることができなくても、ピット(ボックス?)にいるだけで、契約金以上の価値があったりするでしょう。
例えば、スペンサーやドゥーハンなどのアドバイザーにもっとよく話を聞き、重要な点を引き出すこともそうです。
天才は大抵、自分の速さの秘訣をわかっていないので、注意深く解答に導くことです。
まとめ
とかく、回避策がないと簡単に片付けられてしまうハイサイドですが、当事者はそんな簡単には割りきれません。
車椅子生活はやはり避けたいからです。
より安全な方法を模索して、確立して、広めてあげましょう。
次回は立ち上がりのラインとか…
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