シートストッパーでわかるライダーの前向き加減
シートストッパーでわかるライダーの前向き加減
ストレートで空気抵抗を減らす工夫
シートカウルからのオンボード映像が配信されるようになってから、世に広まるようになった走法にストレートでの後座りというのがあります。
ストレートで空気抵抗を少しでも減らすために、ライダーが明示的に座り直す、座り直すどころか座らずにお尻を持ち上げた状態でストレート区間を走行するのです。
オンボード映像を見ていると、ストレートでライダーのお尻がせり上がり前がよく見えなくなるあれです。
因みに日本で最初につなぎのおしり部分に名前(イニシャル)を書いたの多分私です(1980年頃)。

座り直した後のマルケス
ミニバイクならではの走法?
この走法は、ミニバイクあがりのライダーの特徴です。
このフォームをすることにより空気抵抗が減り、ストレートスピードが上がるのだそうです。
ミニバイクのライダーに「当たり前にやる」と言われびっくりしたものです。
これはストレートの短いミニバイクコースでその必要がほんとうにあるのかという疑問はおいておいいて、ひとえにマシンの性能差が少ない、あるいは劣るバイクで、混戦の中ライバルに競り勝つための気持ちの現われです。
この点で、ミニバイク上がりあるいは混戦の経験者かがわかります。
あるいは、有り余る才能か、有り余る性能で、そんなことをしなくても済む環境で過ごしたかがわかります。
ウェイン・レイニーや、ロバーツなどミニバイク歴のないアメリカンライダーはその存在すら知らなく育ってきたかもしれません。
国内ライダーにしても、往年のトップライダーはミニバイク世代ではないかたが多数おられます。
しかし、近年のライダーはミニバイク上がりな方もおられるのですが、温室育ちなのか、トップライダーではあまりその走法?は見られません。
もはや後ろ座りをしない日本人ライダーがGPで勝てなくなりだした時期と、他国の混戦上がりが台頭してきたのと微妙にリンクしているような……(根拠ありません)
手を抜かない人たち
しかし、MotoGPでしっかりとこの走法をしているのが、もうそんな必要がないと思われるトップライダーのロッシやマルケス、ペドロサ、ロレンソたちです。
バイク任せではなく、コンマ一秒でも縮めるための尽力を惜しんでいません。
積極的にマシンにも反映させています。
こんな簡単なことすらしないで、
「同じマシンに乗れば勝てる」とか思っていたとしたら、
彼らに「ライダーとして」勝てることは一生ないでしょう。
彼らに勝てなくて当たり前です。
インタビューでいくら意気込み語ってもダメです。
頑張っているとも思えません。


2段シート マルケスのと形が異なる?

後ろ座りはしません仕様

後ろ座りはさせません仕様

ライダーの違いによりチートストッパーやカウル形状を替えています。

ライダーの違いによりチートストッパーやカウル形状を替えています。
作る側の都合
マシンを作る側としてはライダーの動きを制限させたいのかもしれません。
後ろ座りを考慮しないシートストッパーは、乗りやすいし、疲れないし、セッティングも安定して行えるかもしれないので。。
それにやってみるとわかるのですが、この後ろ座りをするためには一手間かかります。
コーナリングの立ち上がりからそのまま、後ろ乗りの体勢には、動線がことなりそのままでは出来ないようです。
ライディングの延長線にはなく、明示的に後ろにずらす感じとなります。
ブレーキングの際は、次のアクションのためにワンクッションおいているライダーが一般的ですが、マルケスは一連のアクションの中に組み込まれていて、ごく自然にブレーキングやコーナリングのポジションに移行しているように見受けられます。
このへんは、経験の差なのか、ライダーの意向が、マシン作りに反映されているのか、ライダー・チームの違いが見て取れて面白いですね。
どちらにしても、そもそも自分より優位にいる優れたライバルに、手抜きで勝とうというのは、ライダーのおごりということで。
以上
3戦の予選は、MotoGPは面白かったけど、Moto2はちょっと眠いぞ。
シートストッパーでわかるライダーの前向き加減
RR > ストレート でした。
追記
小柄なライダーで、どうしてもシートストッパーがないと加速時に影響が出てしまうという場合の対処法を一つ。
ここでビモータの例を紹介したかったのですが見つかりませんでした。

上記のような細切りのシートラバーを縦ではなく横に貼ると、ベストポジションや、実際の加速対策に使えます。
貼り方が悪く、肝心のレース中に変に剥がれたりすると悪影響があるので、ポジション合わせだけに使うと時間の短縮につながり実用的です。
レース中に使えるだけの加工技術があれば、シートエンドストッパーの代わりだけでなく、タンク側のパッドの代わり、更にはシートの暑さを個々に替えるより積極的なライディングに使えるなど、様々に活用できるのでお勧めです。
ぜひお試しあれ。
ビモータはシート形状含め色々革新的で面白いです。

ビモータが面白い シートの形状だけを観ても様々なコンセプトが見て取れます。写真のシート形状は中野真矢のマシンと同じコンセプトでしょう。コーナリング時は自由に動け、コーナリング中、加速時などにストッパーとして利用したいときには、外側の足を開くことで体を支えることが出来ます。

ヴァイルス 984C3
ヴァイルスは、かつてビモータに在籍したアスカニオ・ロドリゴが率いるスペシャルマシンコンストラクターです。






















