ウォッシュボードとサスペンションセッティング
ウォッシュボードとサスペンションセッティング
セッティングの考え方
セッティングの解説等が役に立たないのは次のような場合です。
- ベース(現状)の説明がない
- 誰がやっても同じ結果になるような物言い
どのような場面で、どのようなライダーが、どのようなライディングで、そのようなセッティングから、どのように感じ、そのような物理的症状がある中、どうなることを期待して、どこをどのくらい、どうしたか。 が書かれていないといけません。
ギャップなどの外乱収束を目的にセッティングするとしても、ライダーの状態や、ちょっとした条件の違いで、大きく結果が変わってくることを次の例で説明してみます。
ウォッシュボードの走り方
モトクロス等でおなじみのウォッシュボードなどのギャップ(凸凹)の塊の走り方を考えてみましょう。ここでは一旦サスペンションの事は忘れライディングとしての走り方です。
走法は大きく次のようなものがあります。
- 一気にジャンプして超えてしまう
- ギャップの頂点のみを飛び石のようにして走る
- 地を這うように走る
このそれぞれに適切(効果的な)走法があります。
そしてその方法をするためには、まずアプローチを適切に行い、そしてそれに見合った走法をします。
一気にジャンプする場合は、適切なタイミングでアクセルを開閉したり、荷重コントロールを行ったりします。
逆に乗ったまま何もしないことが高くジャンプするコツだ、とかいうのもあります。
他の二つも同様でそれぞれの方法がたくさんあります(省略)。(それぞれを当たり前のようにできることを前提に話しています)
次にその走法の目的を考えてみます。
- 短時間で走る
- 安全に走る
- マシンのダメージ少なく走る
- 体力温存する
- 抜くため
- 抜かれないため
上記のうち「短時間で走る」をさらに細分化します。
なぜなら凹凸の場合、単純に「どこでも早く」が成り立たず、速く走れる部分と遅くなってしまうところ、メリットデメリットがあるからです。
例えば加速区間、減速区間であれば、タイヤの接地面積やタイヤの転がり抵抗などを優先したいし、タイムに影響しないのなら楽をしたいとか、ということです。
そうして、十分に解析できたら、これ(ライディング)をサスペンションセッティングに置き換えてみます。
セッティングでウォッシュボード(ギャップ)を乗り越える
前提として、平坦から、盛り上がった形状のウォッシュボードを定速で走破する場面を想定した場面です。ギャップのピッチは都合に合わせてちょうどよい間隔とします。
まず、1番の場合、最初の山で空高くジャンプするように硬めのサスにしてストロークをなくしたりします。
実際にはちょうど良い硬さってものがあるでしょうが比較するとガチガチに、です。
2番目のギャップの頂点を走るためには、重心の高低差を最小限にすべく最初の山を吸収してマシンの重心の上下動を少なくするようなセッティングになります。反動を減らすこと時間差を設けることなど、具体的には圧も減も柔らかめとなります。
3番目は減を固めにするとやりやすいです(路面次第で千差万別ですが…)
うまくいけばそれぞれ快適に最小限のアクション(リソース)で走破することができるようになりました。
これにスピードの加減速を加えれば、より目的通りの走行計画に近づきます。
加減速を効果的に行え、無駄なトラクションのかけ過ぎを減らすことが目標です。
定速の場合と加減速を行う場合とではまたセッティングの考え方やさじ加減が変わってくることでしょう。
サスペンションセッティングの仕上げ
ここまでできたら最後に、各場面で最適に設定されたサスペンションセッティングを最大限効果があるようなライディングを行います。
ライダーの操作や荷重移動などのアシストでより効果が出るように試してみます。
そして次に、最大限効果がないように、あるいは最悪な結果になるような走りを行ってみます。
うまくいけば、セッティングを台無しにすることができます。
そして場合によっては、セッティングの範疇を超えてしまうほどのライディングテクニックをもってコントロールできてしまうことを確認できてしまうかもしれません。これは、もはやセッティングなどどうでもよいということです。これはそもそもセッティングではなくライディングで対応するべきことなどが当てはまります
ここで試したことが、サスペンションセッティングに対して行われる、外乱やライダーのライディングです。
タイミングやライダーのライディングによって、設定したセッティングの変更の効果が出るかどうかは、単純に特定できなさそうなことがお判りでしょう。
これらを正確に把握することが、セッティングに求められていることです。
そして取捨選択することもセッティングです。
肝心なこと(微妙なコントロール)はライダーが行い、単純作業は部下(サス)に行わせるのがよいでしょう。
今回はサスの動きだけを単独に考えてもライダーの意思がはっきりとしていない事には結果が見えてきませんということを言いたいのに加え、
計画の重要性とアプローチ次第では折角の計画が良くも悪くもなってしまうということを言いたかったりしました。
そしてモトクロスのウォッシュボードの走りをそのままさすセッティグに当てはめるとわかりやすいかもということを。
ほとんどの場面で凸凹の周期と深さが存在しそこをどういう方法でやり過ごすかという計画が、セッティングの上手い下手となって表れてくるかもしれません。
特にコーナリング中のタイヤの接地面そのものが様々な支点位置から見た前後左右上下方向の凸凹のように見ることをができます。
挙動をつかむ練習
ロードコースの場合ではコーナリング時のサスペンションセッティングは上記の2番目の「見た目のストロークが少なく安定したように見えるセッティング」に収束させる場合が多いのではないでしょうか?
その場合でも、最初のアクションが登りで始まる場合と下りで始まる場合があります。対象の挙動がスライドから始まるのか、クイックよりのセッティングからブレイクするほどのグリップしすぎから始まるのか、あるいは単純に路面の状態への追随など、きっかけは様々です。
さらに、何らかの希望や不満からセッティングを変更した場合に、特性が上記の1番目や3番目になってしまうこともあります。その際にその特性に合わせたライディングをセッティング変更に合わせて調整できるのか、あるいはもともとそちら寄りのライディングをしていたのか、はたまた逆のライディングしかできないのか、それぞれで結果は変わってきます。
と、こんなことをいきなり言われても困ってしまうことでしょう。
なので、ぜひとも、ウォッシュボードのようなところで様々な走法による違いを経験、習得し、さらにそれをコーナリングで応用できるようにしておくと幸だと思います。
単純の路面の特長だけでなく、ハングオフ、リーンアウト、膝擦り、ひじ擦り、肩すり、ひじ上げ、それぞれのスタイルでできることとできないことの差が顕著になります。
セッティング云々やバランス能力とかではなく、チャタリングしにくいライディングや、フロントがスライドしても平気なライディングが存在します。
ライディングは上手い下手ではなく、単純にそれ(その場面での適切な選択)をすればよい、というのが理想です。
例えばジムカーナ撲滅対策に路面にパッチされたコース?はありがたかったり(やってはいけません)。
例えば峠野郎撲滅対策に路面にパッチされたコーナーはありがたかったり(危険走行はいけません)。
では
※因みにモトクロス系は完全に音痴なので、実際のテクニックや匙加減など現実味をもって書いていないです。
















