ヤマハの切り返しが重たい理由
ヤマハの切り返しが重たい理由
- マシン作りとライダーの関係
- ヤマハの切り返しが重たい理由
- ホンダの切り返しが軽い理由
- マルケスがリカバリーできる理由
- ライディングと反射神経
- 素早い切り返しの方法
マシン作りとライダーの関係
結局のところ設計図でマシンができたとしても、開発ライダー、テストライダー、プロライダー、庶民ライダーそれぞれの力量や特性によってマシンの評価や、実際のマシン特性、セッティング作りが左右されてしまうのがオートバイの悲しいサガ。
となると、だれが乗るか、だれに乗せるか、想定する人物、実際に乗る人物に合わせてマシンが作られていることになります。
とはいえ、必ずしも乗ってほしいライダーに乗ってもらえないこともあるし、ライダーに適していないマシンであることもあるわけです。
またあまり深く考えなくてもライダーに適したマシン、あるいはマシンに適したライダーが自然に集まってくることもあるわけです。
例えば、ホンダに比べヤマハは切り返しが重いという特性があったとします。
どういうことが考えられるか、考えてみましょう。
ヤマハとホンダのイメージ
なんとなく、ヤマハはライダー重視で、ホンダはマシン重視というのがあります(あったとします。以下同様)※。
ライディングしやすいマシンを作るのがヤマハで、マシンの特性を引き出すのがライダーの役目というのがホンダというような感じがあります。
ホンダのほうが情報の蓄積の効率では有利ですが開発能力が高いことが望まれます。
一方のヤマハと言えば、優秀なライダーさえゲットすれば。取りあえず作って現場あわせが成り立ったりします。
ウサギとカメで言えばヤマハがウサギでカメがホンダ。
ご存じのとおりウサギは成績(結果)にばらつきが出てしまいがちです。
実際には居眠り(停滞)どころか振出しに戻ってしまうこともあるのがヤマハだったりします。
そんなわけで、ライダーに求められるのが一般的に「うまくて軽い」だとしても、ヤマハはそうもいかなくなります。
出来が悪くてもねじふせられるある程度の重量やタッパが必要になったりします。
原田哲也とか軽くて速いヤマハライダーの場合は「ものすごくうまいライダー」か「たまたまうまくできたマシン」のどちらかだったりします。
そして、見直してみると、原田選手にしてもやっぱり切り返しが遅い年度があったりします。
大きいことはいいことだ?
競馬の騎手もライダーも軽いことが求められていたりしますが、
競馬はともかく、ライダーの場合軽いからライダーに育てよう、大きいからライダーは不向きだということは、言えないと思います。
多分に、ロッシとマルケスが同等にぶつけ合いしたらロッシが勝つと思うし。
軽いほうが加速で有利だとしても、パワーよりもねじ伏せることが望まれる時もあるし、どちらが有利に働くかも、コースやマシンの出来不出来にかかわってきたりします。
言えるのは実績のないマシンでいきなり彗星のごとく出没するライダーは大柄である。といえてしまうということです。
軽いライダーは、外れバイクに当たったらそのままキャリアが終わってしまう可能性が高いといえます。
開発が低迷しているチームがスカウトして成功するライダーは大柄のほうが高確率でよいでしょう。
大柄ライダーは自力で突破口を開ける可能性を持っていることになります。
ということは軽く生まれたら、エリート街道に乗せる必要があるということになります。
乗り損ねている場合は、坂田並みに頑張らないと日の目を見れないかもしれないことになります。
でかく生んでチャンスを生かすほうが確率高いような気がしますね
軽く生まれたらぶっちぎりの逃げ切りを、重く生まれたら混戦による生き残りに活路があるといえるでしょう。
ヤマハの切り返しが重たい理由
そんなわけで、重たい、大柄なライダーが、マシン開発を含めライディングしたとしましょう。
一番の特長は、ライダーが乗りやすく作られていくということです。
言い換えると、マシンを抑え込むことは良しとしても、過剰に反応されても困るということです。
自己アピールのためにもライダーのコントロールが必要な傾向になってしまうことでしょう。
ライディング主体のセッティングといえるとおもいます。
ライディング主体のセッティングはライダーがマシンを積極的に動かすことに特化したセッティングだといえると思います。
マシン主体で作られたマシンではライダーが目立たないということです。
そのライディング主体のセッティングだと切り返しが重たくなる
なぜかというと、ライダーの重量に比例して、必要な反力が大きくなるからです。
マシン主体のマシンにライダーが追随しようとすると、その反力が大きく必要になり、過敏なマシンではふらふらして乗りにくいマシンになってしまいがちです。
その結果、重たいライダーが切り返しのアクションの準備をする丸々のタイムロスに加え、アクションに過敏に反応しないための重さも必要になってしまうということです。
切り返しは重たいし、もちろん各バンク速度の遅れに加えアプローチタイム、外乱収束タイムなど余計な時間がラップタイムを遅くしてしまう要因となっていきます。
しかしライダー主体で動いてしまうということは、動くときの反力にもルーズで、外乱への反応もルーズに伝わるマシンが、乗りやすいマシンという方向で開発、セッティングが進められてしまいます。
おまけに、折角仕上がったマシンもそのライダーの重量によって特性が決定され、他のライダーの重量が重くても軽くてもベストとは言えないマシンになってしまったりします。
そんなときは、重量配分や反力などをずらしたり、増減したりする普段と違うライディング、例えばイン側の足を出すダートラ風ライディングが効果的だったりします。
ヤマハのマシンの切り返しが遅いのは、大柄のライダーがそのパワーでコントロールするように作られ、尚且つそのパワーでふらふらしないように鈍感に作る必要がある。
それはマシンのポテンシャル的にはベストな状態よりも劣らせることであり、その劣った分をライダーが埋め合わせて結果オーライにする手法。
このようにして作られたマシンを軽いライダーが乗ると「切り返しの重たいバイク」との評価になってしま鵜ことでしょう。
振り回すことが前提に作られているにしてもそれこそライダー毎に癖があるので、場当たり的なセッティングともいえるし、自分に適している可能性は低いのではないでしょうか
軽いライダーは、その場当たり的なマシンセッティングから、普通のセッティングに戻す作業が必要となりますが、割とその作業は簡単かもしれません。
かえって似たような体格のライダーのほうが、微妙だけど根本から違うセッティングの修正は難しいかもしれません。
印象は全般的に重いというさほど深刻な状態とも思えないことが逆に解決へのスピードが遅くなったりしそうです。
ホンダの切り返しが軽い理由
そんなわけで、マシンの特性を素直に引き出してほしいホンダとしては、軽いライダーがウエルカムだったりします。
へたにライダーが暴れないことが肝心と言えるでしょう。
ジェットコースターに両手を上げて乗るのと同等の度胸とテクニック?があればよいわけです。
逆に例えばアンドレア・ドヴィツィオーゾなぞがいきなり乗ったらドォーハン並みにリーンアウトしてしまうかも知れないということです(過敏さが面倒なので)。
これではある意味ホンダ的な開発は止まると思うのですが・・・(別の開発ができるから問題ありません)
ひとたび軽量ライダーをゲットできたらシめたものです。
ライダーがクイックな挙動に追随することで生じる反力分も加味したクイックマシンが作れることになります。
一旦クイックなセッティングのマシンに仕上がったら、そのマシンのライディングはさらに楽ちんになるでしょう。
まさしく乗っているだけのマシンに近づきます(実際にはより高度なライディングが必要ですが)。
もはや、ライディングは挙動を起こすのではなく挙動を抑えるだけでよくなります。
リリースタイミングなど受け身な対応をすれば良い事になります。
一般に反射神経が必要とされる場面での反応時間は格段に速くなることでしょう。
黙っていてもクイックな倒しこみのデメリットはリリースのタイミングを間違えるとそのまま倒れこんでしまったりします。
メリットはセッティングの幅が広いので適正値が見つかること。
ライディング含めバランスを適正なにセットすれば転んでも起き上がるバイクを作れます。
ヤマハでは適正値が一生見つからない場合もあるといえます。
マルケスがリカバリーできる理由
ホンダの欄で書いてしまっていますがマルケスがリカバリーできる理由は、ホンダマシンだからでしょう。
もちろんヤマハのマシンでも同等の結果になることはあるでしょう。
しかしホンダとヤマハの違いは、ライダーのコントロール方法にも影響があるといえることを先に述べました。(述べた?)
ホンダはマシンがクイックでニュートラルであるのに対し、ヤマハはライダー主体なためたとえニュートラルだったりしても、外乱への対応速度は格段に遅れます。なぜなら人間の反応速度に影響するからです。
自立ロボットとバランス芸人との違い
違いは明白ですね
一番の違いはその修正の間隔と言えるでしょう。自立ロボットなどはその制御のタイミングはほとんど音の周波数並みの間隔でコントロールされ、そのトリガーからの反応速度は光速に近くなります。人間の強みと言えば経験からくる予測とその対応の加減ぐらいで、対象が大きければその差が目立たないとしてもスピードが求められてくるにつれその差がはっきりしてくると思います。
ということでマルケスがコントロールしているのはせいぜい自制心で「余計に暴れない」というテクニックを駆使しているにすぎません。
どちらかというとホンダによって導かれた(そのコーナーに置ける)最終的なセットアップがとても素晴らしいといえるということです。
それは、残念ながらスリップダウンしてしまった時のスリップ跡が如実に物語っています(ライダーのコントロール領域ではないので)。
あとハイサイドさせないデバイスコントロールも手助けになっていることでしょう。
セッティングと反射神経
結果的にヤマハの場合ライダーの反射神経がとても重要なライディングパーツであるのに対して、ホンダはそうでもないということになります。
いいかえると、ホンダは反応に時間がかかるというライダーの特性をも、有効にマシンのセッティングに活用できるということになります。
超人的ではなく平均的な反射神経でクイックに反応するマシンを作れることになります。
リカバリーに関してもかえって凡人のほうがリカバリー率が高いというような結果を出すことも可能でしょう
押すか引くか
片手離しができる条件は「手が離せること」ですが、それはニュートラルな時よりもかえって押すか引くかのどちらか一方への力を加える時のほうがやりやすいです。
一方方向に加減するだけでよいから安心でき、逆にどちらかわからない、反射神経が必要な場面では、あまり手離ししたくないと思います。
これは、セッティングのすべての場面でもいえることです。
どちらかわかっているほうが、一方方向に力を加減するほうが、反応速度は速くなります。
そして場面によっては最短での対応をすることができてしまいます。
ニュートラルが必ずしも良いとは限らないということです。
どちらのほうが例えば反応速度が速いのかを知っていれば、それに合わせたセッティングのほうが安定性が向上するでしょう。
なので先の、マルケスがリカバリー出来るのは、どちらか一方に力を加えることで成り立っていたりするかもです。

セッティングの方法
ということで、自分を知って、自分が何をしているかを知って、初めてバイクの状態を見ることができます。
そして何をできて、何が不得意かでもそのすべきセッティングはかわってきます
そういったこととは別に、長期的な目線・方策という物も重要です。
たとえばホンダは、たとえ低迷してもすべて実績になると思われるのですが、ヤマハが低迷しても自業自得で、たとえ解決しても同じことを繰り返してしまうような感じがしてしまいます。
最初に決定するのは、バイクの特性を引き出してあげるのか、この状態でベストな走りを見つけてあげるか!となったとして、大切なのはマシンとライダーのそれぞれの特性を見極めてから進めることが重要といえるでしょう。特にライダーの重量や体力、バランス能力、反応速度、それらすべてがライディングに影響し、求められるマシン特性も変わってしまうことを忘れてはいけません。
分かりやすいのは、両手離しで運転してみようとしてみること! 結構それぞれの特性が明白になります。
以上です。
もしも、自分の切り返しを速くしたいと思って、読んでくれた方はすいません。
具体的な切り返し方法は、別のところで述べていると思いますのでそちら読んでもらいたいと思います。 が、一応
素早い切り返しの方法
一言でいうと、慣性を十二分に使って、その慣性ですっ飛ばないようなコントロールをすると、すっ飛びそうな切り返しができます。
ライダーが率先してコントロールするような普通のライディングではなく、ホールドとリリースで飛ばされないようにしがみつく切り返しがベストです。
注意点は実際に切り返しが始まりだしたらグリップに頼らないことです。
グリップに変に頼ると思わぬ転倒につながる確率が高いのと、そしてもたもたして遅くなります。
ウイリーにも注意ですが、ウイリーあるいはフロントハイサイドしだしたらそれは良い傾向です。
通常の切り替えしの円運動ではフロントのトラクション(グリップ)が失われてしまうのでそれを水平モーメントにさせるテクニックが必要になります。
ということで、ホールドして、リリースして、しがみついて、トレースさせるのが素早い切り返しにつながる方法(イメージ)だと思います。
ジムカーナではスラロームのほうが感覚が近いでしょう。8の字では慣性が足りません。
もはや過去のスポーツですがスケボー、ローラースケートでの、原宿パイロンスラロームも感覚をつかむのには良いでしょう。
※ここでのホンダとヤマハは筆者のイメージや仮に断定して話を進めやすくしているだけで現実のホンダとヤマハとは違うかもしれません



















