とどめの一撃とその見返り
とどめの一撃とその見返り
2018年5/6のへレスでの18週目のアクシデント
好き嫌いとか政治的配慮とかとは関係ない次元で見ると
ペドロサはアクセル開けても閉めてもロレンソにぶつかることに変わりがなく、
ロレンソはあの場面で最善というか、ああしかできなかったし、
ドヴィツィオーゾはしたたかに行動したのだが、見返りを食らった! という見立てです。
ドヴィツィオーゾはいつもの通り、パッシング作業の仕上げとしての必要以上の減速をそれとなく行ない※、
ロレンソはその結果、失速状態で、いわゆるリカバリー状態中にペドロサと接触し、
その状況ではペドロサは、減速しようが加速しようが、どちらにしてもロレンソを避けることはできなかったと思われます。
ドヴィツィオーゾの減速により、ロレンソが失速して通常ラインよりイン側を向いてしまっていることが映像から見て取れます。
このロレンソの状態は、ほとんど転倒中(転倒に向けて進行中)であり、ジムカーナで言うとフルロックターンをしているときにだんだんイン側に倒れだしてしまった時のような心境と同じです。
ロレンソは後ろを見るどころではなく、あの状態でできる唯一のこと、加速して、失速ではなく通常のコーナリングに戻ってくれることを試みる、ということの真っ最中であったということです。
ペドロサの主張である「元のコースに戻る時の後方の安全確認」どころではなかったのです。
ハイサイドで高く飛ぶペドロサに「飛んでる最中に後方確認を怠るな」と言ってるようなものです。
どちらかというとロレンソはペドロサの接近が見えていたと思いますが、見えているにもかかわらずバイクを起こすわけでもラインを変えこともできていないことがさらにそのことを物語っています。
本件ではもしも、スポーツマンシップとかフェアとかジェントルマン的とかいう見地で正義をただすのであれば、
ドヴィツィオーゾのセオリー通りの減速行為の程度が問題となるといえるでしょう。
「チームメイトにそこまでするか」となると、地位と名声とお金という要素を混ぜると、致し方がないということで。
その時の映像はMotoGPで
blob:http://www.motogp.com/46f9526a-49b2-4205-98ec-e27430ebbc23
パッシングするかしないかの分岐点
パッシングを行うかおこなわないかの分岐点というか検討要素は次のようなものがあります
- 抜けるか
- 安全か
- タイムが落ちないか
- 抜き返されないか
- ロスが取り返せるか
- タイヤにやさしいか
- ライバルへの影響(精神的&物理的)
- トライできる回数、残り時間
ダメもと もありですね。
くわえて、
- フェアか
- 紳士的か
- ルール違反か
- スポーツマンシップにのっとっているか
- 世間体
- 現在の好感度
- 相手の好感度
- 借金
とかも鑑みて毎周毎周判断をしているわけですね。
とどめの一撃とその見返り
神様もたまには見ているという話です。
2018年5/6のへレスでの18週目のアクシデントはレースアクシデントであり、その場その場での駆け引きの結果でもあるのですが、
今回のアクシデントとどっかの人間魚雷とは一緒してほしくないというか次元が違うというか・・・
目に見えぬ一撃をそれとなく行うしたたかなドヴィツィオーゾでしたが、今回は失敗に終わったという話です。
ロレンソの走行、行為がどの程度危険行為だったかが論点のように見えることに対しちょっと待った!な話です。
しいていうのならドヴィツィオーゾなのではないか?
もしも同じ立場に立ったら憤りを感じてしまうぞ、という話です。
今回唯一選択肢のなかったライダーを攻めてしまうのってどうよって思います。
正しく状況を判断してあげることが必要です(今回はそれが正しく行われたとは思えません)、
そのうえで、誰が悪いということではなく、こうやった結果こうなった、というレベルでまとめれば前向きな話に進めるのではないでしょうか。
ライダー目線と世間一般の目線には開きがあるような気がします。
しかし自分がそれらの当事者だったらどう行動するかとなると他人ごとではなくなります。
正しく見てあげることが求められます。
でした。
※パッシングしたら、さらに相手の走行ペースを自分より低レベルにするため、相手の走行ラインで邪魔をすることで、立ち上がり以降で抜き返されることを防止します。というテクニックです。
これをしたたかと呼び、対して折角パッシングしてもコーナリング中に抜き返されてしまうような走法を浅はかと呼びます。
より効果的なのは、減速ではなく、いつもなら加速をするポイントで加速しない、さらには加速するそぶりを見せて何もしない、とかの戦術のほうが失うタイムに加え危険性も増大するのでより効果的です。




















