ライダーのチューニングの仕方 (ポテンシャルとパフォーマンス)
ライダーのチューニングの仕方 (ポテンシャルとパフォーマンス)
好調の秘訣
エンジンは、気温と湿度と高度によって燃調(酸素濃度)が変わるので、そのためのチューニングをします。
同様に、タイヤやサスペンション類も外部の環境に合わせセッティングを行います。
そんな中、ライダーはいつでもどこでもベストセッティング…… ですか?
ライダーは、まるごと交換させられる場合を除き、部品交換や、目に見えるセッティング変更は行えません。
ほとんど、昨日の自分、1週間前の自分のまんまです。
様々な環境に対応できるように、また、少なくてもベストなパフォーマンスが求められます。
少しでも消耗部品や体調(ポテンシャル)のチューニングを行いましょう。
よく目にする、決勝に合わせた体調管理、みたいな大げさなものから、
日頃の体調管理まで含みますね。
SBKのジョナサン・レイが絶好調ですが、シーズンを通しての戦いには体調管理も必須です。

イモラでダブルウィンのジョナサン・レイ! 昨年イモラで負傷した#4ラスコルツに捧げるレースとのことでした。
ポテンシャルとパフォーマンス(潜在能力と実力)
例えば「今日は調子が悪かった」という人は、ポテンシャルはあるけれどパフォーマンスはないと自ら言っています。
同様に、「できる限りのことはやりました(だけど賞典外)」は、ポテンシャルは低いけどパフォーマンスは高いと自ら言っています。
「チームのせいで成績が伸びない」と言えば、ポテンシャルもパフォーマンスも悪いということです。
言うまでもありませんが、ポテンシャルとはすべてが上手く行った時の予測値です。
日本語だと可能性とか潜在能力とかですね。
間違っても、希望や予想などの宝くじ要素的なものではありません。
そしてパフォーマンスはそのポテンシャルの達成度です。
と多意味に使われているパフォーマンスという言葉ですが、
関係者は、レース後のパフォーマンスとレース中のパフォーマンスとは、はっきり区別して考えましょう。
ライダーは、日頃の練習や学習?を通してユニット(マシンとライダー)のポテンシャルを高める努力をします。
あとはそれを結果に結びつけるべくパフォーマンスするだけ。
いえ、パフォーマンスを高めるべくライダー自身のチューニング法も身につけておく必要があります。
ライダーのセッティングワード
ライダーのチューニング関連のキーワードについて、思いつくことをあげてみます。
- 筋力トレーニング
- フィジカルトレーニング
- エアロビクス
- マッサージ
- テーピング
- アイシング
- ピラティスアプローチ
- 応急手当
- スポーツ障害
- リラクゼーション
- 筋スパズム
- カイロプラティクス
- キャパシティビルディング
- クライオストレッチ
- クライオキネティックス
- 温熱療法
まだまだあるかと思います。
どうでもよいものから、無視してはいけないもの、
やればやるだけ効果があるものまで様々でしょう。
どれをやるか
それぞれが、それぞれ効果があり重要なのですが、ちょっとした問題は、どれを選択すればよいかの指標が少ないことです。
それぞれが皆、一番のように言われているからです。
とても全部はやりきれないことでしょう。
しようがないので、自身なりの尺度で判断し、それぞれ自分に合った最適な情報とメニューを用意しておきましょう。
ここではアイシングについて少し触れます。
アイシングというと、一般にトレーニング後とか試合後とかの後処理的なイメージがありますが、それだけにとどまらず、
マラソン選手の給水所での「水かけ」や、事前に行うことによるパフォーマンスアップなど、多方面で活用されています。
アイシング
アイシングの概要についてはWikipediaで詳しく説明されていますが、
そのほとんどの箇所の元ネタが『スポーツアイシング』(山本利春、吉永孝徳著、2001/4)です。
手元には続編の『スポーツアイシング』(吉永孝徳著、2002/11)があります。
さらに競技別、部位別の図解・写真入りなのですが、何故かこちらは絶版です。
その中で、アイシングの効果的な理由について説明している箇所の目次を記載します。
PART1
コンディショニングと応急処置とリハビリテーションに効果的
- コンディショニングに効果的なアイシング
- 応急処置に効果的なアイシング
- リハビリテーションに効果的なアイシング
- 慢性的な痛みに効果的なアイシング
「冷やすと体はどうなるか?」アイシングが効果的な理由
- アイシングがもたらす5つの生理的変化
1「氷を当てた部分の温度が低くなる」筋肉が力を発揮しやすくなる
- 冷やすのは筋肉の性能を高めるため
- 試合中に冷やせばプレイに好影響
2「細胞の新陳代謝が低下する」ケガの広がりが抑えられ早く治る
- 冷やすのは筋肉の性能を高めるため
- 内出血によって元気な細胞まで死滅していく
- アイシングが細胞の死滅を防ぐ
3「炎症(晴れ)がしずまり痛みが軽くなる」運動機能を高めたり回復を早めたりする
- 炎症は怪我を治すために必要な反応
- アイシングは炎症の痛みを和らげる
- 痛みを抑えると良いプレイが生まれる
- アイシングが回復期間を短縮する
4「血液の循環が良くなる」エネルギーのムダ使いが防げる
- 運動の前には血液の循環を良くする
- 冷やせば血液循環が良くなり温まる
- 練習・試合後のエネルギーの浪費を防ぐ
5「筋スパズム」が軽くなる筋肉を動かしやすくなる
- 筋スパズムとはこわばること
- 筋肉がこわばるのは安静にさせるため
- 軽いスパズムにはアイシングが効果的
- スパズムをほおっておくと悪循環がはじまる
- 「痛い」と「動かすな!」の間隔
- アイシングにより悪循環を断ち切る
と、いかにもレースに関連がある項目が並んでいます。
RICEとICE
他にもこの書籍ではアイシングのメリットだけでなく、デメリットや注意事項にも触れています。
単純に冷やせばいいわけでもなく、
コールドスプレーや通常の氷では凍傷の危険があることと、
アイスマシンなど水での冷却では効果が低いなど、0度の氷の効能を説明しています。
また、短時間の処置では逆効果で温めてしまうこともあるそうです。
なにより、リハビリとしてのアイシングは、その回復までの期間短縮に大変効果があるということ、
RICE※ができない場合はICEだけでも十分効果があることや、
医療現場でも採用されているクライオキネティックスという「冷やしながら運動させて短期間で治す療法」なども紹介しています。
※RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)のそれぞれの頭文字をとったものです。
万能的なアイシングですが、血管攣縮障害や局所循環障害のある方には注意が必要、など実用書として安心して使えるような配慮も盛り込まれています。
盛りだくさんで説明しきれないので、図書館で見つけて読まれてみることをおすすめします。
ネットからの情報だけですと、全体を俯瞰したバランスはわからないので、まとめられた書籍はやっぱり有用でしょう。
もちろんアイシングだけではなくトレーニングやマッサージやテーピングなどの知識も必要です。
しかし広範囲に適応できそうなアイシングを最初に知っておくと、それらも効果的に使えることでしょう。
まずは氷とバケツですね。
他のマッサージや、テーピングなどに関しては、ここでわざわざ言わなくてもよさそうなので、手元にある本の紹介だけして割愛します。
ピラティスについて
ピラティスとはとかく「マイナスからゼロ」への視点でしか見られない医療界において、病弱だった自らの体験を元に傷病兵へのリハビリから始まり、さらにはダンススタジオの運営で名を馳せスポーツ医学界からも注目を浴びるようになった、Joseph Hubertus Pilatesが創始者の「自分の身体を自身の意志で制御する」の意味のコントロロジー(Contrology)という概念のメソッドです。
現在ではスポーツ分野で広く支持されています。
その効果としてうたわれているものには、姿勢改善、障害予防、パフォーマンス向上、腰痛・頸部痛などがあり、
適応疾患としては、パーキンソン病、脳卒中、側弯症、脊髄損傷、切断、変形性関節症、骨粗しょう症等があげられます。
特にダンス界に支持されていて、マイケル・ジャクソンの「This is it」でもピラティスインストラクターの重要性が紹介されています。
話はそれそうですが、その、和製マイケル・ジャクソンと称された三浦大知と、今や世界的に有名なダンサーKOHARU SUGAWARAがコラボしたイベント(実は発表会)を見てきました。
驚いたのはダンスではなく、その観客たち。
このイベントは寒い中、体感2時間(実質1時間)位も会場の外で待たされたにも関わらず、周囲から愚痴の一言も発せられなかったこと、イベント後のレビューでも、そのことに触れてさえいなかったことです。
普通のライブではありえないこと。
見習うのはこういうところかもしれません。
で、その出演者(ダンサー)たちのパフォーマンスを見て思いました。
「こいつら絶対ハイサイドしないだろうし、終盤だれることもないだろうな」と。
彼らのパフォーマンスは、才能でも、生まれでもなく、日頃の修練の賜物なのでしょう。
とにかく良き理解者と良きパートナーが必須です。
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さらに科学したい場合はこれ、より正しい知識が入手できます。
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テーピングは下手に手を出すと失敗するので、プロに教えてもらうか、よく読んで、失敗しない安全で確実な方法のみ実践することをおすすめします。
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