トラクションのかけ方
トラクションをかける
トラクションというキーワードについては以前説明しました。(トラクションVSフリクション)
その後、相変わらず世のトラクションの説明があいまいなので再び書いてみました。
トラクションを抜いてトラクションをかける
このサイトではトラクションとは駆動輪の駆動力のことではなく
路面とタイヤの摩擦力のようなもののことを指し、フロントでもリアでもトラクションという言葉を使っています。
さらにこの意味でのトラクションを抜きながら、駆動力をかけることも普通にできるので、この状態のことをトラクションを抜いてトラクションをかけるなどという表現はしません。
このサイトではトラクションは駆動力ではないということです。
よって駆動力をかけることは、トラクションをかけることは別のこととして取り扱います。
駆動をかけてトラクションをかけることはあっても、トラクション=駆動をかけるではありません。
因みに、トラクションも日本語訳である駆動力も、言葉の意味は「押し付ける力」と思いがちですが摩擦とは厳密には引っ張る力であることも忘れてはいけません。
これを忘れると四輪のサスがらみで、リアのトラクションロッドに対しフロントはテンションロッドとかいうパーツ名をつけてしまいます。
またトラクションを必要以上にかけた場合フリクションが増えるので非効率だ、などと目的を無視した言動も控えます。
ここでは、駆動力に上限はなく、トラクションは適切な値がある、という位置づけです。
そもそもトラクションという文言の正しい使い方はこのようなものです。(http://www.jalos.jp/jalos/qa/articles/012-S60.htm より引用)
トラクションとは、転がり運動する接触面にできるEHL油膜をせん断するときに生ずる抵抗力をいいます。そして、このトラクションによって動力を伝達することをトラクション・ドライブとか、トラクション駆動と呼びます。
転がり接触面にEHL油膜ができない状態でも、固体の滑り摩擦力によって動力を伝えることができます。この場合はフリクション・ドライブとか、摩擦駆動と呼ばれます。摩擦駆動はトラクション駆動に比べて、駆動力は大きいが、接触面の摩耗や損傷が大きくなります。
転がり接触する表面に、互に噛み合う凹凸をつけたのが歯車であり、これは歯車による動力伝達になります。
このサイトでは上記を正しいトラクションの解釈や用語の用法として認識して、国内で一般的に使われる「トラクションとは駆動輪にかける駆動力だ」という解釈も定義も表現も間違いだとして無視します。なので、トラクションをかけて回頭するとかトラクションをかけて減速するとかトラクションが抜けてラインが膨らむとかの言い方を正しい意味として普通に使います。
なぜトラクションをかけるのか
それは次のような理由があります
- 形状の変化
- フリクションの変化
- 発熱効果
- 保険
- 形状の変化にはいろいろありますがわかりやすいのがタイヤの直径です。
もちろんタイヤの直径とはタイヤが押しつぶされた状態の直径のことです。
因みに駆動力とは地面がタイヤの軸を進行方向に押す力のことで、地面に対しタイヤのゴムが地面を引っ張ったその反力で軸が押される時の力なり加速度のことです。
スピード的ではなく力的には出力したパワー以上に駆動力が発生しているということですね - フリクションの変化
直線ではなく、曲線の時にはこのフリクションの変化は、セッティング的に重要です。
タイヤと路面の接触している領域に、モーメント(方向や距離)や、荷重や加重などの変化と時間的な変化が発生します。
フロントは細動(細かいチャタリング)しながら均整を保っていることにろ、引っ張る力や引っ張られる方向が変わります。リアも同様です。 - 発熱の変化
変形量が増えれば発熱量が増えます。 - 保険
これが試験に出ます。
トラクションをかける理由
「トラクションをかける」のまえに「トラクションを抜く」を説明しておくと分かりやすいかもしれません
トラクションを抜く理由
- 体を柔らかくする
- タイヤの性能を発揮する
- 配分的な調整をする
トラクションをかけるのは、これの逆なので
- 体を硬直させる
- タイヤの無駄使いをする
- 配分を乱す
違いますね。トラクションを抜くと効果を発揮するのは主にフリクションか慣性による悪影響が出ているときですね。
トラクションをかけるとき
まず、トラクションをかけないといけない時は、いわゆるセッティングが出ていない と考えましょう
なぜなら、トラクションをかけないと、性能を発揮できないということは、トラクションをかけ忘れてはいけないということになってしまうからです。
それよりは正しくマシンセッティングをして、その状態では特にトラクションをかけることを意識しないで済むようにするほうが、正しいマシンセッティングと言えるでしょう。
そのうえで、さらなる極みを出すときにトラクションをコントロールします。
F1の加速スイッチみたいな感じだと思うとよいでしょう。
例えば四輪車に乗っていて、必要な時だけトラクションコントロールボタンを押すような感じです。
間違っても曲がるときには毎回必ずボタンを押すなんてことを選択はしない方が身のためです。
とはいえ、現状では、そうではなくライディングの一つの技とか作法とかの一つとしてトラクションをかけるというのが一般的です。
仕方がないとはいえ、次元が低いと思っておくとよいでしょう。
トラクションはホイールにかける
トラクションはサスペンションでもタイヤでもなくホイールに対してかけます。(厳密にはは想像上のホイールです。)
アクセルでもよさそうですがそれだと変なモーメントが発生します。
もちろんハンドルとかステップにかけるのではありません。
フロントサスにかけるというのも最終的には間違いです。
タイヤにかけるというのが本来の答えかもしれませんが、それでは先に進みずらいのでその一つばね上が適切です、※
ホイールをどういう状態(立場)にしておくかについて考えるのがトラクションです。
サスペンションなり慣性なり、体重なりを駆使してかけ・ヌケをイメージします。
そして、ホイールをコントロールしてタイヤと地面の状態を演出します。
このタイヤの動きをコントロールすることでトラクションをコントロールします。
流通しているトラクションコントロールという言葉とバッティングしていますが、ライダーの方が上等です
前後に加え上下左右にもコントロールすることができるからです。
タイヤと路面の演出
トラクションコントロールにはいくつかパターンがあり列挙すると
- 中に浮かせる
- 弱めにかける
- 適正に保つ
- 強めにかける
- スリップ率を高める
- 変形する
- ねじる
- つねる
- ひねる
- ビートを保つ
- 不整脈る
それぞれ使い場所があって、それぞれが正しいでしょう
で現象的にはこのパターンだとして実際にコントロールするにあたって先ほどの「保険をかける」で考えてみましょう
保険をかける
保険のためにトラクションコントロール(トラクションをかける・トラクションを抜く)するとは、
簡単に思いつくのがタイヤが地面から離れないようにするためです。
とにかく大きく破綻しないように備えておくことです。
そのために必要以上に(無駄に)その離れてしまう場面に備えて押さえつけておくわけです(本当は引っ張ることが多い)。
加重さえすればそれで済むと思っているのは大間違いです。
重みだけでは不十分で、方向や時間軸的な調整なども活用する方がよいに決まっています。
要はトラクションのかけかたにもパターンがあるということです。
どのようにやるかというと
長くなるので・・・

カッツアイ
※要はトラクションについて考えるときはタイヤの状態に合わせるということが重傷だと言いたいということです。


















